Amazon Nova Actレビュー:ウェブブラウザを操作するエージェント向けのリサーチプレビューSDK
執筆: Andrew Miller · · 更新 2026年10月23日
追記(2026年10月23日):Nova Actはもうリサーチプレビューではありません。AWSは2025年12月のre:Inventで、カスタム版のAmazon Nova 2 Liteモデルで動く一般提供サービスにしました。そのため、ここに書いたプレビュー時代の詳細は古くなっています。
ブラウザ自動化のスクリプトは、ウェブサイトがボタンの位置を変えるたびに壊れます。Amazon Nova Actは、それを解決しようとするAmazonの試みでした。Amazon Artificial General Intelligence(AGI)が開発したAIモデルとソフトウェア開発キット(SDK)の組み合わせで、ウェブブラウザの中で動くエージェントを開発者が書けるようにします。エージェントはページを読み、正しいボタンやフォームを見つけ、休暇申請の提出やサイトからのデータ取得といった作業をこなします。
執筆時点ではリサーチプレビューでした。各手順を普通の言葉で説明すると、何をクリックすべきかはモデルが判断するため、手書きのスクリプトなら壊れてしまうレイアウトの変更にもエージェントは対応できます。
出典:
- Introducing Amazon Nova Act | Amazon AGI Labs
- Amazon Nova: Explore Amazon's Latest AI Capabilities
できること
- ブラウザ内で操作する。エージェントがクリック、入力、画面移動を代わりに行うため、繰り返し作業の時間が省け、入力ミスがなくなります。動作するのはNova Actモデルで、これはウェブページの構造を理解するよう学習させた、Amazonの大規模言語モデル(LLM)Novaの一種です。
- 普通の言葉で指示を受ける。やってほしいことを一文で伝えると、Novaモデルがそれを操作に変換します。
- ページの変更に対応する。モデルはさまざまなレイアウトに汎化するため、サイトのデザインが変わってもスクリプトを書き直す必要はありません。
- それ以外はPythonで。独自のロジックの追加や他のシステムとの連携はPythonで行います。より長いワークフローにはLangChainのようなフレームワークも使えます。
- Playwrightが土台。オープンソースのブラウザ自動化ライブラリPlaywrightがブラウザ自体を扱うため、ChromeでもFirefoxでも動きます。
- 大きな作業を手順に分ける。複雑なタスクは小さな操作に分割されるので、どこで問題が起きたかが分かりやすくなります。
- APIを呼び出す。エージェントはAPI呼び出しで外部サービスからデータを取得することもできます。
使い道
Nova Actはまだプレビューだったため、どう使っているかを公表した企業はほとんどありませんでした。Amazon自身の例と、そこから自然に考えられる次の使い道は次のとおりです。
- ショッピング。商品を検索し、価格を比べ、購入します。Amazonのデモでは、Amazonでコーヒーメーカーを検索し、最初の結果を選んでカートに入れます。大きな作業ではLangChainで複数のエージェントを連携させることもできます。
- 事務作業。不在メッセージの設定、カレンダーの管理、社内フォームの記入です。たとえば休暇申請を提出し、カレンダーに予定を押さえます。
- データ収集。市場調査のためにウェブサイトから情報を集めます。たとえば賃貸物件の情報を集め、それぞれが駅からどれだけ離れているかを調べます。
- カスタマーサポート。サポートポータルを移動し、チケットを登録し、ナレッジベースで情報を調べます。
- テスト。QAチームはウェブアプリやブラウザゲームとのやり取りをスクリプト化できます。Amazonによれば、Nova Actは初めて見るウェブゲームもプレイできます。
うまくいく点
- 固定されたページ構造に頼るスクリプトはページが変わると壊れますが、Nova Actは毎回ページを読むので、保守の手間が減ります。
- 普通の言葉で手順を書けるため、自動化の専門家でない人にも使いやすくなっています。
- 開発者がすでに知っているPythonとPlaywrightを使います。
- タスクを手順に分けることで、失敗の原因を突き止めやすくなります。
- SDKはApache 2.0ライセンスのオープンソースです。
- Amazon BedrockなどのAWSのサービスと組み合わせやすく、すでにAWSを使っているチームには便利です。
注意点
- 言い回しが重要。結果は各指示の書き方に大きく左右されるため、指示の書き方を身につける必要があります。より良い指示作成ツールや、指示を書かせるためにOpenAIのGPT-4のようなモデルと組み合わせることが助けになるかもしれません。
- 間違える。リサーチプレビューなので、特に複雑なサイトや見慣れないサイトでは誤りがあります。ユーザーのフィードバックによる学習で、時間とともに改善されるはずです。
- プロンプトインジェクション。悪意のあるウェブサイトが指示を仕込み、頼んでいない操作やデータの流出にエージェントを誘導するおそれがあります。
- ブラウザ専用。デスクトップアプリケーションは操作できません。AnthropicのComputer Useはそれができます。
他の製品との比較
当時最も近い競合は、OpenAIのOperatorとAnthropicのComputer Useでした。
| 機能 | Amazon Nova Act | OpenAI Operator | Anthropic Computer Use |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | ウェブブラウザの自動化 | ウェブ上のタスク | ウェブを含む一般的なコンピューター操作 |
| モデル | Amazon Nova LLM | GPT-4oとComputer-Using Agent(CUA) | Claude 3.5 Sonnet |
| 使い方 | PythonとPlaywrightによるSDK | ChatGPTの中で使え、始めやすい | APIで利用、設定が必要 |
| タスクの種類 | フォーム記入などのウェブ上のタスク | 予約や買い物などのウェブ上のタスク | デスクトップアプリを含む幅広いタスク |
| 変化への対応 | ページの変更に適応 | 推論して自分で修正 | 画面を読み取って操作 |
| モデルの役割 | Nova LLMがウェブページを理解 | GPT-4oが推論と視覚を担当 | Claudeが画面を解釈 |
ChatGPTの中にあるOperatorが最も始めやすい製品です。Nova Actは、エージェントをコードで書きたい開発者向けです。Computer Useは最も設定の手間がかかりますが、ブラウザの外でも動きます。
料金
リサーチプレビューの期間中、SDKはAPIキーを使ってAmazon Nova Actを通じて試用できる状態で、Amazonは料金を発表していませんでした。AWSとの関係を考えると、Amazon Bedrockのような従量課金になる可能性が高いと見られていました。比較として、OpenAIのOperatorはChatGPT Proのサブスクリプション(月20ドル)に含まれ、AnthropicのComputer UseはAPIを通じて利用量に応じて課金されていました。
結論:Nova Actは、すでにAWSを使っていて壊れやすいPlaywrightのスクリプトにうんざりしている開発者にとって、有望なプレビューでした。ただし、作業結果を確認し、信頼できないサイトには近づけないことが条件です。評価は4/5としました。