MiniCPM-OCR 1.0とは?
MiniCPM-OCR 1.0は、OpenBMBのMiniCPM-Vファミリーで初めてのOCR専用モデルで、2026年10月下旬にOpenBMBとModelBestがApache 2.0で公開しました。パラメータは13億(1.3 billion)で、SigLIPの視覚エンコーダーとQwen3.5の言語モデルから成り、MiniCPM-V 4.6をもとにOCR向けに学習しています。中国語と英語のテキスト、表、数式、グラフ、印章を読み、指定した項目をJSONに抽出します。
単独ではなく、パイプラインの中で動くように作られています。minicpm-ocrのSDKがPDFや画像を受け取り、BaiduのPP-DocLayoutV3のレイアウトモデルで領域を見つけ、切り抜いた各領域を認識用のサーバーに送り、読み順にMarkdownとJSONを組み立て直します。オプションのDSparkのドラフトモデルでデコードが速くなり、量子化したGGUF、AWQ、GPTQのビルドも同じ日に公開されました。
OpenBMBはあわせてMiniCPM-OCR Jevも公開しました。これは任意のOCRシステムの出力を元の画像と照合して信頼度を採点する2Bのモデルで、疑わしいページを人に回せます。ModelBestは無料のホスト版の文書解析APIも提供しています。
MiniCPM-OCR 1.0は使う価値があるか?
MiniCPM-OCR 1.0 の売りは、1つの勝ちスコアではなく、首位に近い精度での速さです。OpenBMBのスループットのテストでは、RTX 5090でOmniDocBench v1.6の全1,651ページを対象に、DSparkを使って毎秒1.217ページを解析しました。GLM-OCRは1.179、PaddleOCR-VL-1.6は0.818、Xiaomi-OCR-0は0.724、Unlimited-OCR 2は0.246です。8ページを並列にすると、毎秒2.133ページに達しました。
精度では、OpenBMBの表の6つのベンチマークのうち4つで首位です。Real5-OmniDocBenchでは93.68で、PaddleOCR-VL-1.6の93.19を上回り、Wild-OmniDocBenchでは92.39、OCRBench v2では54.7で、次点のNanonets-OCR-sは47.4です。標準のOmniDocBench v1.6では96.51で、96.91のTeleOCR、96.83のXiaomi-OCR-0、96.58のOvisOCR2に次ぎ、olmOCR-Benchではchandra-ocr-2が85.8対82.7で上回ります。競合の分も含めて数字はすべてOpenBMB自身による実行ですが、再現のためのガイドは公開されています。
4つ目の首位は飛び抜けています。CHAOS-Benchでは29.78で、次点のTeleOCRは21.28、ほとんどの競合は15未満です。CHAOS-Benchは新しく、差も大きいので、購入の判断に使う前に外部での確認がほしいところです。
代償はパイプラインです。ページ全体の解析はPP-DocLayoutV3に依存します。これはSDKがダウンロードする別のモデルで、その例はNVIDIAのGPUを前提にしているので、1.3Bという数字は実際に導入するものを過小に表しています。SDKと認識用のサーバーは別々のPythonの環境で動き、DSparkは同じリリースのドラフトモデルでしか使えません。
今回の公開でより珍しいのは、付属のJevのモデルです。ほかの解析モデルのテキスト、数式、表をページの画像と照合して採点するので、信頼度の低いページを人による確認に回すのに向いています。自社のJevOCRBenchでQwen3.5-397B-A17Bに迫るというOpenBMBの主張は、ほかでは検証されていません。
真価を発揮する場面
未処理のスキャン済みの融資ファイルをデジタル化する銀行のデータ基盤チーム
社内のGPUで数百万ページをMarkdownとJSONに解析する
vLLMでBF16のモデルとDSparkのドラフトを動かし、ページと領域の同時実行数を上げてSDKをそこに向けます。OpenBMBの同時実行数8で毎秒2.133ページという数字は、レイアウトの検出が制約になる前の時点で、RTX 5090 1枚あたり1時間に約7,700ページになります。
印鑑や手書きのある保険金請求書を確認する保険会社の業務責任者
疑わしいページだけを人の確認担当者に回す
印鑑には'Seal Recognition:'のプロンプトも使ってMiniCPM-OCR 1.0で解析し、各結果をMiniCPM-OCR Jevで採点し、自分のファイルで調整したしきい値を超えたものは自動で受け入れます。Jevはほかの解析モデルとも使えるので、既存のOCRシステムのチェックにも使えます。
請求書の抽出を試作する5人のスタートアップの開発者
GPUを買う前に文書解析 を試す
無料のModelBestのAPIかHugging Face Spaceで試し、その後ワークステーションでllama.cppを使うGGUFのビルドに移ります。ホスト版APIの利用枠とデータの条件は公開されていないので、公開されるまでは顧客の文書を送らないでください。
導入前に確認すること
- 導入
- Python 3.10以降で'minicpm-ocr[all]'をpip installし、別の環境で認識用のサーバー(vLLM、SGLang、llama.cpp、Ollama)を起動してから、minicpmvocr parseを実行します。SDKは初回の利用時にPP-DocLayoutV3をダウンロードします。OpenBMBは、コーディングエージェントに設定を案内させるエージェント用のスキルも提供しています。
- 連携
- vLLMまたはSGLangによるOpenAI互換のエンドポイント。GGUF向けのllama.cppとOllama。Huawei Ascend、Kunlunxin、Moore Threadsなど中国のアクセラレーター向けのFlagOSのビルド。LLaMA-Factoryとms-swiftのファインチューニングの手順。
- データとプライバシー
- 重み、コード、ドキュメントはApache 2.0です。セルフホストなら文書は自分のハードウェアにとどまります。ModelBestのAPIの保持と学習の条件は、モデルカードにもプレスリリースにも書かれていません。
- 大規模利用時のコスト
- BF16のチェックポイントは2.6 GBなので、一般向けのGPU 1枚で動かせます。毎秒1.217ページなら、ページの同時実行なしでRTX 5090 1枚あたり1時間に約4,400ページです。レイアウトのモデルが別にGPUの負荷を加え、ホスト版APIの有料の料金は公開されていません。
- 制限
- 主な言語は中国語と英語です。各画像は448ピクセルで最大9つに分割され、視覚トークンは4倍に圧縮されます。ガイドは、出力が途中で切れていないかfinish_reasonを確認するよう警告しています。DSparkには対応するドラフトの重みが必要です。
良い点
- RTX 5090で毎秒1.217ページ、OpenBMBの15モデルのテストで最速
- Real5-OmniDocBenchで93.68、OCRBench v2で54.7(自己申告)
- 公開時からGGUF、AWQ、GPTQのビルドと、vLLM、SGLang、llama.cpp、Ollamaに対応
- Apache 2.0で、人による確認に振り分けるための2Bのチェック用モデルがある
気になる点
- OmniDocBench v1.6ではTeleOCR、Xiaomi-OCR-0、OvisOCR2に及ばない
- 比較の数字はすべてOpenBMB自身による実行
- ページ全体の解析には別のレイアウトモデルが必要で、例ではGPUを使う
- ホスト版APIの利用枠と保持の条件が公開されていない
おすすめの人
中国語や英語の文書を自分のGPUで大量に解析し、最後の1ポイントの精度と同じくらい1時間あたりのページ数を重視するチーム。
MiniCPM-OCR 1.0の代替
MiniCPM-OCR 1.0:よくある質問
- MiniCPM-OCR 1.0は使う価値があるか?
- MiniCPM-OCR 1.0は、首位に近い解析の精度と、開発元の15モデルのテストで最高のスループットを兼ね備えています。数字が確かなら、実用的な小型OCRの選択肢です。 評価は5点満点中4.3点です。
- MiniCPM-OCR 1.0の料金は?
- Apache 2.0で無料。ModelBestのホスト版の文書解析APIは無料とうたわれていますが、利用枠と有料の料金は公開されていません。
- MiniCPM-OCR 1.0の欠点は?
- OmniDocBench v1.6ではTeleOCR、Xiaomi-OCR-0、OvisOCR2に及ばない; 比較の数字はすべてOpenBMB自身による実行; ページ全体の解析には別のレイアウトモデルが必要で、例ではGPUを使う; ホスト版APIの利用枠と保持の条件が公開されていない.
- MiniCPM-OCR 1.0は誰に向いているか?
- 中国語や英語の文書を自分のGPUで大量に解析し、最後の1ポイントの精度と同じくらい1時間あたりのページ数を重視するチーム。
- チームや本番環境でMiniCPM-OCR 1.0を使うと費用はいくらか?
- BF16 のチェックポイントは2.6 GBなので、一般向けのGPU 1枚で動かせます。毎秒1.217ページなら、ページの同時実行なしでRTX 5090 1枚あたり1時間に約4,400ページです。レイアウトのモデルが別にGPUの負荷を加え、ホスト版APIの有料の料金は公開されていません。
- MiniCPM-OCR 1.0は企業データを扱っても安全か?
- 重み、コード、ドキュメントはApache 2.0です。セルフホストなら文書は自分のハードウェアにとどまります。ModelBestのAPIの保持と学習の条件は、モデルカードにもプレスリリースにも書かれていません。
- MiniCPM-OCR 1.0の代わりになるものは?
- 当サイトでレビューした中で最も近い代替はPaddleOCR-VL-1.6, Xiaomi-OCR-0, Surya OCR 2.5 、 Mistral OCR 4.1です。
回答確認日:2026年11月2日
